【黒豆の最高級品種】丹波黒大豆の栄養素と効能効果について|おかき・あられ・せんべいの素材編

丹波篠山産黒大豆の写真

おかき・あられ・せんべいの素材に使われる黒大豆の産地は日本各地にあります。そのなかでも黒豆の最高級品種とされている兵庫県にある丹波篠山産の黒大豆『丹波黒(たんばぐろ)』の特徴や栄養素の効能などについて簡単にまとめてみました。

黒豆を使ったおかき・あられ・せんべいが、昔から不動の人気の誇る理由のひとつが、黒大豆の持つ豊富な栄養素の数々です。香ばしい味わいと栄養素を兼ね備えた素材についてどうぞ。




丹波黒大豆の特徴について

黒大豆は、大豆の一種で「黒豆(くろまめ)」とも呼ばれ、見た目の通り、黒色や濃い紫色をしています。英語でも「black soybean」と表現されています。大豆は、縄文時代の遺跡からも見つかっているほど、古代より大切な食材として日本人に親しまれてきました。

現在は、日本各地で黒大豆の栽培が行われていますが、世界でも類を見ない大粒サイズの特徴を持つのが、丹波地方(兵庫県丹波篠山市)で栽培されている黒大豆です。1941年に正式に『丹波黒(たんばぐろ)』と命名された最高級ブランドになります。

丹波篠山市は、兵庫県の中東部に位置しており、周りを山々に囲まれた大自然の中にあります。寒暖の差が激しく、篠山盆地の風土が「丹波霧(たんばぎり)」と呼ばれる霧を生み出し、黒大豆の成長にも大きく関わっていると言われています。

皮の表面には、厳しい気候から身を守るためだと言われている「ろう粉」と呼ばれる白い特殊な粉を纏います。また、百粒あたりの重さで比較すると、一般的な黒豆が40g程度に対して、丹波黒は84g程度の重さを誇ります。煮豆にすると、より膨らんで食感も良くなり、艶やかな色合いとともに最高の美味しさを与えてくれます。

おせち料理にも欠かせない一品で、旬を迎える年末には店頭にたくさんと並んでいる光景をよく見かけます。黒豆は、健康を意味していて「マメに達者で長生きをする」という祈りが込められています。また、黒色は古くから邪気を払う「魔よけ」の意味も含まれているようです。

粒の大きさだけではなく、独特の甘味とモチモチとした食感が人気の秘密です。丹波地方の土は粘土質であるため保水性が高く、盆地のもつ気候も黒大豆の栽培に適しているということで、美味しくかつ大きく育つため栄養価が高いのも注目すべき点です。

実際に弊社で使用している丹波篠山産の黒大豆の写真を撮っておきましたので、表面にうっすらと見える“ろう粉”と雰囲気を参考にしていただければと思います。

おかきに使用している丹波篠山産黒大豆の写真

黒大豆の栄養成分表示と効能効果について

黒豆は、大豆の一種で「畑の肉」とも言われるくらい良質のたんぱく質を豊富に含んでいます。基本的には、黒大豆と大豆(黄大豆)の栄養成分はほぼ同じですが、黒大豆には黒い皮に含まれるポリフェノールが加わる点でもおかき・あられ・せんべいの素材としては非常に魅力的です。

参考までに一般的な黒大豆と大豆(黄大豆)の数値を比較してみました。カロリー(kcal)は、たんぱく質・脂質・炭水化物の熱量の合計値です。また、糖質は炭水化物、塩分は食塩相当量でご確認ください。

栄養成分表示(100gあたり)

項目黒大豆大豆(黄大豆)
エネルギー414㎉422㎉
たんぱく質33.9g33.8g
脂質18.1g19.7g
炭水化物30.8g29.5g
(糖質)(14.8g)(8g)
(食物繊維)(16.0g)(21.5g)
食塩相当量0g0g

※参考資料:七訂 食品成分表2020 女子栄養大学出版部(黒大豆・黄大豆とも乾での数値です。)

黒大豆も大豆も食物繊維が豊富に含まれているのがわかります。糖質の多いおかき・あられ・せんべいとの相性の良さがここでも見て取れるかと思います。

たんぱく質(Protein)

たんぱく質は、体を構成する筋肉や内臓、皮膚などを作る大切な構成成分です。1gあたり4キロカロリーのエネルギーを生み出します。

たんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されていて、そのうち体で作ることができないものを必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は、全部で9種類ありますが、黒大豆にはそれらすべてをバランスよく含んでいる素材なのです。

黒大豆は、文部科学省の日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表編によるとアミノ酸スコアでも最も高い数値(100)で表されています。

脂質(Lipid)

脂質は、細胞膜やホルモン、血液などを構成する成分です。脂溶性のビタミンの吸収を助ける働きなどもあります。脂質は、1gあたり9キロカロリーと、たんぱく質と炭水化物より高いエネルギーを生み出します。

黒大豆はリノール酸やα‐リノレン酸といった多価不飽和脂肪酸を含んでいます。これらは人の体内で作ることができないため必須脂肪酸と呼ばれ、生命活動に必要不可欠な栄養素になります。

炭水化物(Carbohydrate )

炭水化物は、糖質食物繊維の2種類で構成されています。糖質は消化されて吸収されますが、食物繊維は吸収されないといった違いがあります。1gあたり4キロカロリーのエネルギーを生み出します。

糖質(Sugar)

糖質は、たんぱく質や脂質に比べると吸収が早いためエネルギーとしてすぐに利用されるといった特性をもちます。また、余ったものは、グリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられたり、アミノ酸をつくる材料としても利用されます。

からだのなかに入るとブドウ糖に変わり、脳や神経のエネルギー源となる栄養素ですが、ビタミンB1がないとスムーズに消費されないため、黒大豆には多く含まれている点でも非常に魅力的です。

食物繊維(Dietary fiber)

食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分かれます。水溶性食物繊維は、主に糖質や脂肪の吸収を抑制したり、腸内環境のバランスを整える働きなどがあります。また、不溶性食物繊維は腸内の壁を刺激することで動きを活発にさせる働きがあります。

黒大豆には、腸内環境を改善してくれる不溶性食物繊維のセルロースヘミセルロースが比較的多く含まれています。



ビタミンやミネラルなどの効能効果について

黒豆の写真

ビタミンとミネラルは、たんぱく質・脂質・炭水化物の代謝を円滑に行うためにサポートする働きがあります。黒大豆には、主にビタミンB1、B2、Eに加え、カリウムやカルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

黒大豆(国産・乾)栄養成分表示(可食部100gあたり)
●ビタミンB1・・・0.72㎎
●ビタミンB2・・・0.28㎎
●ビタミンE・・・3.1㎎
●カリウム・・・1800㎎
●カルシウム・・・190㎎
●リン・・・510㎎
●マグネシウム・・・200㎎
●鉄・・・5.7㎎
※参考資料:七訂 食品成分表2020 女子栄養大学出版部

ビタミン(Vitamin)

ビタミンは、エネルギーにはなりませんが、たんぱく質・脂質・炭水化物などの他の栄養素の吸収を助けたり、代謝の働きをサポートする役割があります。からだの様々な機能を調節する貴重な潤滑油とも言える栄養素です。ビタミンの仲間は、全部で13種類ありますが、体内ではほとんどつくられないため、食べ物から摂取しなければなりません。

なお、ビタミンは脂溶性のビタミンと水溶性のビタミンに分かれています。

●脂溶性ビタミンの仲間:ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK

●水溶性ビタミンの仲間:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC

黒大豆には、水溶性のビタミンB1・B2と脂溶性のビタミンEが豊富に含まれています。このため、若返りのビタミンと言われているビタミンEを特に意識して食べたい場合は、サラダ味を選んでみるのも良いかもしれません。

ミネラル(Mineral)

ミネラルは、からだの機能の維持や調整に欠かせない栄養素です。なかでもカリウムとナトリウムは、神経の伝達や筋肉の収縮などの役割を担います。また、カルシウムやリンは骨や歯などを形成してくれます。

人に必要なミネラルは全部で16種類あります。このうち体内に比較的多く存在するものを主要ミネラルと呼ばれています。主要ミネラルは下記の7種類です。

●主要ミネラル:ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、イオウ

主要ミネラル以外を微量ミネラル(微量元素)と呼び、9種類あります。たとえ、わずかな量でも人のからだに欠かすことができないため、バランスよく摂取しておく必要があると言われています。

●微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリデブン、クロム、コバルト

ミネラルもビタミンと同じく体内で作ることができないため、食べ物から摂取する必要があります。黒大豆には、特にカリウムやカルシウム、マグネシウム、リン、鉄などが豊富に含まれています。

黒大豆の機能性成分(ファイトケミカルなど)について

黒豆畑の風景写真

ファイトケミカルと呼ばれるポリフェノールなどの機能性成分は、植物が光合成によってできる色素や苦みのもととなる成分などです。第7の栄養素とも呼ばれ、強い抗酸化作用の働きが注目されています。なお、黒大豆に含まれるポリフェノールの一種であるアントシアニンやイソフラボンと、サポニンの特徴と効能については下記の通りです。

アントシアニン(Anthocyanins)

アントシアニンは、ポリフェノールの一種でブルーベリーや赤ワインなどにも含まれている天然の色素です。血圧を上げる酵素の働きを阻害して高血圧を予防したり、毛細血管を保護して弾力のある柔軟な血管を保ってくれます。アントシアニンは視力低下や眼精疲労などの予防にも役立つとして注目されています。体内ではつくることができないため、食べものから摂取する必要があります。

おかき・あられ・せんべいの生地(もち)に混ぜられた黒大豆は、炭火やガス火で焼成されますが、アントシアニンという成分は過熱しても壊れにくいため、安定した栄養素を保つことができるというのが魅力的なポイントです。

イソフラボン(Isoflavones

イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)とよく似た働きを持ち、更年期障害の改善や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防に効果があることがわかっています。また、冷え性を改善して、肌の保湿や美白効果などもあり、からだにうれしい成分です。「植物由来のエストロゲン」と呼ばれ、ポリフェノール仲間になります。

サポニン(Soy saponin)

大豆サポニンは、大豆のえぐみや渋み、苦みなどの主成分ですが、強い抗酸化作用があるため抗がん作用を持ちます。また、油脂を溶かす作用もあるため血中のコレステロールを減らし、動脈硬化や脂質異常症、高血圧などを予防する効果が期待されています。免疫力強化もあって、美容にも良いということもありイソフラボンとあわせて女性には特にうれしい成分です。

まとめ

黒豆の入ったおかき・あられ・せんべいの魅力は美味しさだけでなく、昔から栄養素を兼ね備えた保存食としても使われてきた歴史があります。今では、ファイトケミカルの成分などの分野でも研究が進み、アンチエイジングにおいても注目される効能や効果が見つかっています。

ポリフェノールなどが豊富な黒豆の魅力について少しでも知っていただけることで、黒豆入りのおかき・あられ・せんべいを味わうことがより楽しく有意義なものになれば嬉しいばかりです。

日本の各産地の黒豆をいろいろと味わってみるのも面白いかもしれません。ぜひ、お好みの品を見つけていただければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。当記事がほんの少しでも何かの参考になれば幸いです。

※栄養素の効能効果には個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。