海苔は、昔から不動の人気を続ける人気食材。百貨店やスーパーマーケット、コンビニのほとんどのお店で販売されています。
日本の健康食材の代表格で「海の牛肉」と呼ばれる海苔の栄養素はとても魅力的。
今回は、その海苔(のり)の栄養素や効能効果を交えて、米菓との相性に迫ってみたいと思います。

お菓子の原材料としても欠かせない海苔は、「海の大豆」とも呼ばれています。
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最高級な海苔の定義とは

米菓の素材に使われる焼き海苔の産地は日本各地にあります。そのなかでも生産量の多い有明海産や瀬戸内海産などの海苔が有名。
良い海苔の定義はいくつかあるようですが、主に色の濃さや艶(つや)、焼き色がきれいでおいしさがあるものになります。海苔を選ぶ際には、香りと色、光沢を重視して、ムラがなくてよく詰まったものを選ぶと良いとされています。

おいしい海苔には、うま味成分であるグルタミン酸やイノシン酸がバランス良く含まれています。
有明海は九州(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県にまたがる)にある海苔の一大生産地。非常に干満の差が大きく、海苔の生育に最適な環境が揃っていることで、質の高い良質な海苔が採れます。有明海産の海苔は非常に色艶がきれいでうま味が良いことから『最高級ブランド』と称されています。
ただし、海苔にはいくつかの等級(ランク)があり、必ずしも [ 産地=最高級 ] であるとは限りませんので、お好みの産地や種類を選んでみて下さい。
米菓に使われる海苔は、一般的に焼き海苔(焼きのり)です。
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海苔の栄養素について

海苔は「海の牛肉」と呼ばれるほど、たんぱく質が豊富で必須アミノ酸も豊富に含まれています。
下記の栄養成分表で、同じ海藻類のわかめとこんぶの数値と比べて頂くと、海苔のたんぱく質の含有量が非常に高いことがわかります。
栄養成分表(100gあたり)
種類 | 焼き海苔 | わかめ | こんぶ |
---|---|---|---|
エネルギー | 188kcal | 117kcal | 146kcal |
たんぱく質 | 41.4g | 13.6g | 5.8g |
脂質 | 3.7g | 1.6g | 1.3g |
炭水化物 | 44.3g | 41.3g | 64.3g |
-糖質 | 8.3g | 8.6g | 32.2g |
-食物繊維 | 36.0g | 32.7g | 32.1g |
食塩相当量 | 1.3g | 16.8g | 6.6g |
※海苔は、焼き海苔の数値です。

これだけでも毎日の食事では欠かさず食べたいと思える凄さ!
また、食物繊維をはじめ、ビタミンやミネラルも海苔にはバランスよく含まれておりともて栄養価が高い食材。
ビタミンとミネラルは、たんぱく質・脂質・炭水化物の代謝を円滑に行うために欠かせない栄養素。
主にビタミンAやビタミンC、葉酸に加え、カリウムやカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛などが豊富に含まれています。

海苔は食物繊維の含有量も凄い!
ビタミン(Vitamin)
ビタミンAは、肌の再生力を高める効果があり肌の健康を保ってくれます。コラーゲンの合成を助けてくれるビタミンCも含まれており美容にもうれしい成分。
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特筆すべき点は、一般的なビタミンCは熱には弱くて壊れてしまうのですが、海苔に含まれるビタミンCは熱に強くて焼いてもあぶっても壊れにくいという素晴らしい特徴があります。
なお、ビタミンは油に溶ける脂溶性のビタミンと水に溶ける水溶性のビタミンの2種類に分かれています。
- 脂溶性ビタミン:ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
- 水溶性ビタミン:ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC
主なビタミン(100gあたり)
種類 | 焼き海苔 | わかめ | こんぶ |
---|---|---|---|
ビタミンA | 25000㎍ | 7700㎍ | 1600㎍ |
ビタミンB2 | 2.33㎎ | 0.83㎎ | 0.31㎎ |
ビタミンB12 | 57.6㎍ | 0.2㎍ | ー |
ビタミンC | 210㎎ | 27㎎ | 29㎎ |
ビタミンE | 4.6㎎ | 1.0㎎ | 2.6㎎ |
葉酸 | 1900㎍ | 440㎍ | 240㎍ |
※海苔は、焼き海苔の数値です。
ミネラル(Mineral)
ミネラルは、からだの機能の維持や調整に欠かせない栄養素。なかでもカリウムとナトリウムは、細胞内外の浸透圧を調節したり、神経の伝達や筋肉の収縮などの役割を担います。カルシウムやリンは、骨や歯の構成する成分。
人に必要なミネラルは全部で16種類(主要ミネラル・微量ミネラル)があります。
- 主要ミネラル:ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、イオウ
- 微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリデブン、クロム、コバルト
主なミネラル(100gあたり)
種類 | 焼き海苔 | わかめ | こんぶ |
---|---|---|---|
ナトリウム | 530㎎ | 6600㎎ | 2600㎎ |
カリウム | 2400㎎ | 5200㎎ | 6100㎎ |
カルシウム | 280㎎ | 780㎎ | 780㎎ |
マグネシウム | 300㎎ | 1100㎎ | 530㎎ |
リン | 700㎎ | 350㎎ | 180㎎ |
鉄 | 11.4㎎ | 2.6㎎ | 3.2㎎ |
亜鉛 | 3.6㎎ | 0.9㎎ | 0.9㎎ |
※海苔は、焼き海苔の数値です。
海苔の機能性成分(ファイトケミカル)について

機能性成分は、植物が持つ色素や苦みの成分。「ファイトケミカル」とも呼ばれ、強い抗酸化作用の働きが昨今注目されています。海苔にはホウレンソウなどに代表される β‐カロテンも豊富に含まれています。
β ‐ カロテンの効能について
β‐カロテンは、カロテノイドという天然色素のひとつ。効能としては皮膚や粘膜を健康にして免疫力強化につなげてくれます。また、強い抗酸化作用で有害とされる活性酸素を抑えてくれる働きがあります。
目の網膜に必要なロドプシンをいう成分をつくるためにビタミンAが必要になるため、パソコンやスマホをよく使う人は欠かさず摂取したいビタミン。

β‐カロテンは脂溶性ビタミンのため油脂と一緒に摂ると吸収率が高まります。
β‐カロテン含有量(100gあたり)
焼き海苔 | わかめ | こんぶ | |
---|---|---|---|
β‐カロテン当量 | 27000㎍ | 7800㎍ | 1600㎍ |
β‐カロテンは、海苔をはじめ、ほうれん草、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜にも多く含まれています。
ご紹介した栄養成分は、同じ藻類の青のり・あおさ・ヒトエグサにも含まれているものもあります。ご興味がございましたらご覧下さい。
青のり・あおさ・ヒトエグサの違い|栄養価が高いのはどれ?海の緑黄色野菜
さいごに:海苔は最高の食材(原材料)

海苔は美味しさだけでなく、栄養素もしっかりと兼ね備えた食品。
たんぱく質に加えて、水溶性食物繊維が豊富なため、糖質(炭水化物)の多い米菓(おかき・あられ・せんべい)との組み合わせは最適だと思います。
おかき・あられ・せんべいの糖質が気になる方へ|糖質と糖類の違い
昔の人々の知恵が、現代の進歩で科学的根拠が多く示されています。
毎日の食生活に、海苔を効果的に利用して栄養バランスを整えることが出来れば理想。
- たんぱく質は大豆を凌ぐほど豊富
- 食物繊維は全体の3分の1を占める
- 熱に強いビタミンC
(注)海苔を含む海藻類にはヨウ素(ヨード)が含まれています。体調によっては合わない場合もありますので、気になる方は専門家に相談するようにして下さい。
【参考サイト】
・【海苔】 日本水産資源保護協会
・もの知り図鑑 農林水産総合技術支援センター(徳島県)
・のりのふくい 株式会社福井
・海苔JAPAN 海苔で健康推進委員会(海苔産業構造改革委員会)
【参考文献】
・加工海苔入門 日本食糧新聞社
・大房剛「海苔をまいにち食べて健康になる」キクロス出版
※栄養素の効能などについては素材について述べたものであり、商品の効果を示すものではありません。
※写真やイラストはイメージです。