せんべいは糖質が約7〜8割、ザラメ糖は10割が糖類になります。
この糖質(糖類を含む)の代謝を促進してくれる栄養素が『ビタミンB1』。
ざらめせんべいが大好きな人には、ダイエットを意識する上で欠かせないビタミン。
今回は、ビタミンB1の働きと役割から、関係の謎に迫ってみました。

ざらめせんべいは、糖質と糖類のコンビネーション!
おかき・あられ・せんべいの糖質が気になる方へ|糖質と糖類の違い
ビタミンB1の効能効果について

ビタミンB1は別名「チアミン(Thiamin)」とも呼ばれる水溶性ビタミン。
効能として代表的なものは、糖質の代謝をサポートすることがあげられます。
ビタミンB1の助けがなければ、糖質を分解してエネルギーを生み出すことができません。
糖質の摂取量が増えると、ビタミンB1の必要量も同じく増加していきます。
ケーキや菓子パンなど糖質を多く含むお菓子を食べる際は、必ず意識をしておきたいポイント。

次に糖質代謝の流れを見てみたいと思います。
糖質の代謝とダイエットの関係とは?

糖質は体内に入ると、消化酵素によってブドウ糖に分解されます。そして、小腸の柔毛にある毛細血管から吸収されて門脈を通って肝臓に運ばれます。
肝臓に運ばれたブドウ糖は、一部はグリコーゲンとして蓄えられ、必要な分だけ全身に送られエネルギー源として利用されます。
この糖質の代謝に必要不可欠な栄養素が「ビタミンB1」。
糖質→ビタミンB1の働き→エネルギー
糖質の代謝が上手くいかないと「肥満の原因」にも繋がりやすくなってしまいます。
ダイエットを意識する上で、ビタミンB1を含むビタミンB群の摂取は欠かせません。

「ざらめせんべい」が大好きな人にも関係が深い大切な栄養素と言えます。
糖質の代謝の流れ(簡易編)
糖質は、体内に入ると消化酵素によってグルコース(ブドウ糖)に分解されます。
グルコース(ブドウ糖)は、解糖系とTCA回路を経て、最終的に二酸化炭素と水にまで分解されます。
この過程でエネルギー分子となる「ATP(アデノシン三リン酸)」が産生されます。
グルコース→解糖系→ピルビン酸
※解糖系では、酸素を必要としません。
解糖系は、グルコースをピルビン酸(または乳酸)にまで分解します。この解糖系の過程でATPが産生されます。
この解糖系で生まれたエネルギーを利用する運動が『無酸素運動』にあたります。
ピルビン酸→アセチルCoA→TCA回路→ATP→エネルギー
※TCA回路では、酸素が必要となります。
TCA回路は、グルコースから生まれたピルビン酸をアセチルCoAに変換してTCA回路を経てATPを産生します。
こちらの経由で生まれたエネルギーを利用する運動が『有酸素運動』にあたります。

ビタミンB1は、この「ピルビン酸」を「アセチルCoA」に変換する際の補酵素の役割を担っています。
※電子伝達系の他一部は省略しています。
お米のビタミンB1について
ビタミンB1は、もともと米糠(こめぬか)などには含まれているのですが、おかき・あられ・せんべいは精白米を原料に使うため炭水化物以外の各栄養素が少ないのが特徴。

下記の表の通り、精米して残るのは胚乳部分のわずか約17%。
ビタミンB1の部位別割合(%)
部位 | 割合 |
---|---|
ぬか層 | 約48% |
胚芽 | 約35% |
胚乳 | 約17% |
なお、それぞれの部位についはこちらのイメージ図でご確認ください。

米ぬかは、米油の原料として利用されています。
ビタミンB1を豊富に含む食品

おかき・あられ・せんべいと組み合わせる素材のなかにはビタミンB1を豊富に含むものがあります。
食事でもお馴染みの黒豆ごはん、ふりかけごはん、おにぎりなどが組み合わせの代表例。
ふりかけには胡麻が入っていることが多く、おにぎりは海苔で巻いてあるのものが一般的。
- 黒豆(大豆)
- ごま(胡麻)
- のり(海苔)
おかき・あられ・せんべいにもよく使われる黒豆と胡麻、焼き海苔の3つの数値を比べてみていただけると多少なりとも参考になるかと思います。
ビタミンB1の含有量(比較表)
ビタミンB1は、水溶性のため洗いすぎると成分が多く溶けだしてしまう性質があります。
製造方法によって起こる数値の変化(減少)を考慮することは難しいため、数値はあくまでも一例です。
含有量比較表(100gあたり)
種類 | ビタミンB1 |
---|---|
黒豆(乾) | 0.72㎎ |
胡麻(乾) | 0.95㎎ |
海苔(焼き海苔) | 0.49㎎ |
玄米 | 0.41㎎ |
うるち米 | 0.08㎎ |
もち米 | 0.12㎎ |
※黒豆は全粒、玄米・うるち米・もち米は水稲穀粒での数値です。

黒豆・胡麻・海苔はビタミンB1が豊富!
ビタミンB1の摂取基準について
ビタミンB1の一日の摂取基準量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると成人男性で1.3~1.4mg、成人女性で1.1mgが推奨量とされています。
- 男性・・・1.3〜1.4mg
- 女性・・・1.1mg
通常の食事で摂取するにあたってはビタミンB1は体内に蓄積されにくいため、許容上限量となる目安量は設定されていません。過剰症についても認められていませんが、自分にあった適量を摂取することが大切。
ビタミンB1の食事摂取基準(㎎/日)
年齢 | 男性 (推奨量) | 女性 (推奨量) |
---|---|---|
18~29(歳) | 1.4㎎ | 1.1㎎ |
30~49(歳) | 1.4㎎ | 1.1㎎ |
50~64(歳) | 1.3㎎ | 1.1㎎ |
65〜74(歳) | 1.3㎎ | 1.1㎎ |

ビタミンB1は体に蓄積できないので、こまめに摂取することが大切。
さいごに

おかき・あられ・せんべいに限らず、炭水化物(糖質)を豊富に含む食品やお菓子を食べる際には、ビタミンB1は積極的に摂りたい栄養素のひとつ。
エネルギー不足は、全身の倦怠感だけでなく、脳や神経機能にも支障をきたすことがわかっています。集中力の低下やイライラが多い時には要注意かもしれません。
日頃の食事から摂った糖質は、最大限にエネルギーとして消費できるように工夫することがダイエットにおいても大切なポイントになります。
※エネルギー代謝については簡素化して解説をしています。
※写真やイラストはイメージです。