おかき・あられ・せんべいと油の関係は意外と奥が深いものです。味付けにも利用されていますし、生地を揚げる際などにも利用されています。
油は種類ごとにバランスよく摂ることが大切と言われています。しかし、油の種類はたくさんあるので、知らない間に偏ってしまっている可能性があります。
そこで、今回は体に良いと言われるオメガ3系のα-リノレン酸を多く含む『くるみ』を例に、効能効果を交えながらおかき・あられ・せんべいとの関係についてまとめてみました。
目次(もくじ)
α-リノレン酸の含有量について
α-リノレン酸は、多価不飽和脂肪酸に分類されるオメガ3系の油に多く含まれている脂肪酸です。
最近、話題のえごま油やアマニ油に特に多いことでも有名ですが、くるみにも多く含まれています。くるみに含まれるα-リノレン酸の含有量は100gあたり9.0グラム(9000㎎)です。
同じナッツ類の仲間であるアーモンドや落花生と比べると、含有量の多さは一目瞭然です。せっかくなので、えごま油とアマニ油も含めて一覧表を作成してみましたので、参考にしていただければと思います。
おかき・あられ・せんべいの主原料である精白米(うるち米・もち米)にもわずかですが、気持ち程度含まれています。
α-リノレン酸の含有量一覧表(100gあたり)
種類 | α-リノレン酸 |
くるみ(煎り) | 9.0g(9000㎎) |
アーモンド(煎り) | 0.01g(10㎎) |
落花生(煎り) | 0.099g(99㎎) |
えごま油 | 58.0g(58000㎎) |
アマニ油 | 57.0g(57000㎎) |
うるち米 | 0.011g(11㎎) |
もち米 | 0.01g(10㎎) |
※アーモンドは無塩、うるち米・もち米は水稲穀粒での数値です。
●参考資料:脂肪酸成分表(第1表)七訂 食品成分表2020|女子栄養大学出版部
なお、上記の数値はあくまでも一例です。素材のもつ特徴として参考にしていただければと思います。
α-リノレン酸の効能効果について
α-リノレン酸は、血液中の中性脂肪を下げ血液をサラサラにしてくれるので、血栓の予防に効果があるとされています。
血管をしなやかに保ち、血行をよくするなどの効能があるため、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの予防にも有効とされています。ぜひとも食生活においては積極的に取り入れたい脂肪酸のひとつです。
おかき・あられ・せんべいによく使われる油は、オメガ9系やオメガ6系を多く含む油のため、バランスを考えるとオメガ3系のα-リノレン酸を含む“くるみ”は理想の素材です。
オメガ6系のリノール酸は血管を硬く丈夫にするのに対して、オメガ3系のα-リノレン酸は血管をやわらかくするため、両者のバランスで柔軟でかつ丈夫な血管を保つことができると言われています。
なお、脂質(植物油)の種類や特徴については、別の記事でわかりやく解説していますので、ご興味がございましたらご覧ください。

オメガ3系(n-3系)の摂取基準について
α-リノレン酸などのオメガ3系の一日の摂取基準量は、厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると成人男性で2.0~2.2グラム、成人女性で1.6~2.0グラムとされています。
n-3系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)
性別 | 男性 | 女性 |
年齢 | 目安量 | 目安量 |
18~29 | 2.0g | 1.6g |
30~49 | 2.0g | 1.6g |
50~64 | 2.2g | 1.9g |
65~74 | 2.2g | 2.0g |
●参考資料:日本人の食事摂取基準2020 厚生労働省
体内でDHAとEPA(IPA)に変わるα-リノレン酸
α-リノレン酸は、体内の代謝によって一部が、青魚などにも含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)に変わる特性をもっています。
必須脂肪酸であるオメガ3系のα-リノレン酸は体内で合成できないため、食べものから摂る必要があります。くるみやオメガ3系の油は、できるだけ手元においておきたいところです。
ただし、えごま油やアマニ油などは酸化しやすく、熱に弱いといった性質があります。長く日持ちするタイプでもないので、料理などに使う際には保存する場所や使用期間などに気をつける必要があります。
まとめ
おかき・あられ・せんべいにくるみを使った商品は、意外にもそう多くはないので見つけた際にはぜひ試してみてください。
また、ミックスナッツなどにもくるみが入っているものがあります。おやつの時間には、α-リノレン酸が豊富なくるみとおかき・あられ・せんべいの組み合わせもおすすめです。
くるみはとても体にうれしい食べものですが、約7割が脂質のためカロリーはちょっと高めです。また、脂質の割合のなかではリノール酸がもっとも多いため、食べる量を適度に抑えて“質”を重視することがおすすめかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございました。当記事がほんの少しでも何かのお役に立てれば幸いです。
参考 日本人の食事摂取基準厚生労働省※栄養成分の効能効果については個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。