プレバイオティクスとして働きが注目を浴びている食物繊維ですが、おかき・あられ・せんべいには食物繊維は含まれているのでしょうか。
結論は、一般的なおかき・あられ・せんべいの原材料となるお米(精白米)には、ほとんど食物繊維は含まれていません。
ただし、副原料となる素材(海苔や昆布、黒豆など)には食物繊維を豊富に含むものが。
今回は、いくつかの人気素材をあげてご紹介したいと思います。
食物繊維はコレステロールの吸収を抑えたり、血糖値の上昇を抑える作用などがあると考えられています。
腸活には欠かせない食物繊維をおやつの時間にもできるだけ取り入れることは健康にとっても大切!
※一般的なおかき・あられ・せんべいとは醤油で味付けしたものを前提にしています。
そもそも食物繊維(しょくもつせんい)とは何?
日本では、食物繊維は「人の消化酵素では消化されない食品中の難消化成分の総体」と定義されています。
ひと昔前までは、体の構成成分やエネルギー源としての役割が期待できないため重要視されていませんでした。
しかし、最近では機能性が明らかになったおかげで食物繊維の効能が注目されています。
食物繊維の一部は大腸で腸内細菌によって分解され、発酵して発酵物(短鎖脂肪酸)は吸収され、エネルギー源になることがわかっています。
おかき・あられ・せんべいの食物繊維量ですが、下記表の通りほとんど含まれていません。
栄養成分表示(100gあたり)
項目 | あられ・おかき | しょうゆせんべい |
---|---|---|
エネルギー | 381㎉ | 373㎉ |
たんぱく質 | 7.9g | 7.8g |
脂質 | 1.4g | 1.0g |
炭水化物 | 84.2g | 83.1g |
-糖質 | 82.9g | 82.3g |
-食物繊維 | 1.3g | 0.8g |
食塩相当量 | 1.7g | 2.0g |
おかき・あられ・せんべいに食物繊維が少ない理由は、主原料となる精白米(もち米・うるち米)にもともと含まれている量が少ないからなのです。
精米をしていない玄米と比べるとその違いがわかりやすいと思います。食物繊維は種皮などの米ぬかに多く含まれています。
参考までに、100gあたりに含まれる食物繊維の含有量を玄米や発芽玄米、五穀と比べてみました。
穀類の栄養成分表(100gあたり)
種 類 | 食物繊維 |
---|---|
うるち米(精白米) | 0.5g |
もち米(精白米) | 0.5g |
玄米 | 3.0g |
発芽玄米 | 3.1g |
五穀 ※ | 5.1g |
※五穀は、あわ、きび、ひえ、大麦等を含むものです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の効能の違い
第6の栄養素と呼ばれる食物繊維は、大きく分けると水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2つに分類されています。
- 水溶性食物繊維・・・水に溶ける
- 不溶性食物繊維・・・水に溶けない
水溶食物繊維の効能は、体内で水分を含んでネバネバやヌルヌルとしたゼリー状となって、他の食べ物を包み込むように腸内をゆっくりと進んでいきます。
そのため糖質の吸収を妨げることになり、結果として血糖値の上昇を緩やかにしてくれる働きがあります。また、腸内の有害物質などを吸着して排泄もしてくれます。
一方、不溶性食物繊維の効能は、水分を吸うと大きくふくらむため、腸内の壁を刺激して腸の動きを活発にしてくれる働きがあり、腸内環境の改善や予防が期待されています。
食物繊維の主な成分
食物繊維の主な成分と主な働きは下記の通り。ここではわかりやすいように一部の食品を例としてあげています。
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | |
---|---|---|
主な成分 | ・ペクチン (果実類、野菜類) ・アルギン酸 (藻類) ・グルコマンナン (野菜類) ・イヌリン (野菜類) ・グアガム (豆類) | ・セルロース (穀類、豆類) ・ヘミセルロース (野菜類、果実類) ・ペクチン (果実類) ・リグナン (穀類、豆類) ・キチン (魚介類) ・β‐グルカン (きのこ類、穀類) |
主な作用 | 便通改善 整腸作用 急激な血糖値の上昇を抑える コレステロールの上昇を抑える など | ぜん動運動を活発にする 便通改善 満腹感による食べすぎ防止 大腸がんの予防 など |
食物繊維を多く含む素材(原材料)について
おかき・あられ・せんべいの素材としてよく使われる食物繊維を多く含む食べものをいくつかご紹介させていただければと思います。
素材は一例ですが、食物繊維が豊富に含まれているおかき・あられ・せんべいは意外にたくさんあります。
食物繊維の含有量(100gあたり)
食物繊維は炭水化物に含まれているため、『カッコ( )』をつけて表しています。
種 類 | 炭水化物 | (食物繊維) |
---|---|---|
焼き海苔 | 44.3g | (36.0g) |
青のり | 41.0g | (35.2g) |
こんぶ | 64.3g | (32.1g) |
黒大豆(乾) | 30.8g | (16.0g) |
ごま(乾) | 16.5g | (10.8g) |
ごぼう(生) | 13.7g | (6.1g) |
納豆(糸引き) | 12.1g | (6.7g) |
日本人は毎日の食事で摂取する食物繊維が不足気味と言われています。
主食においても食物繊維が不足しないように意識しておきたいところ。
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020)』によると、18歳~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上の食物繊維を1日に摂取することが推奨されています。
- 成人男性・・・21g以上
- 成人女性・・・18g以上
おかき・あられ・せんべいの消化とは?|消化吸収とエネルギー代謝の仕組み
さいごに
健康な腸を保つには乳酸菌やビフィズス菌等の腸内フローラのバランスを改善する善玉菌を含んだ微生物(プロバイオティクス)と、
食物繊維をはじめオリゴ糖や乳糖のように善玉菌のエサになりプロバイオティクスの働きを助ける食品成分(プレバイオティクス)を一緒に摂ることで、腸活への効果が高まるとされています。
これらプロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ることなどを「シンバイオティクス(synbiotics)」と言い、腸内環境を整える食事として推奨されています。
生活習慣病を防ぐためにも毎日の食事やおやつにも必ず取り入れておきたいところです。
※栄養成分の効能効果には個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。