おかき・あられ・おせんべいの作り方の違いについては、よくお問い合わせをいただくテーマなのでお米の違いから焼き上げ、味付けまでを簡単にまとめてみました。
どちらもお米から作られるお菓子という点では共通していますが、原材料の違いや呼び名は異なるため、人それぞれイメージも違うかもしれません。
おかき・あられ・せんべいの違いについて、少しでも知っていただくことで食べ比べが楽しくなれば幸いです。
おかき・あられ・おせんべいの原材料の違いとは?
一般的に米菓は、原材料となるお米の種類の違いで分類されます。ここでのおせんべいは、お米を使ったお菓子を前提に説明しています。
米菓(べいか)とは、文字通りお米で作ったお菓子のことです。「米菓子(こめがし)」とも呼びます。
米菓は、大きく分けると『おかき・あられ』と『おせんべい』の2つに分類できます。
●おかき・あられ・・・もち米(餅米)
●おせんべい・・・うるち米(粳米)
おかき・あられは「もち米」から作り、おせんべいは「うるち米」から作られます。しかし、形や大きさ、厚さなどが似通っているものも多く、一見すると区別しにくいお菓子です。
商品パッケージに記載されている原材料名を見ると、『原材料名:もち米(国内産)』もしくは、『原材料名:うるち米(国内産)』などと記載されているので、ここで違いを簡単に確認することができます。
なお、もち米とうるち米の主成分である “ でんぷん(澱粉)” の性質については、下記の別記事をご参照ください。

おかき・あられ・せんべいの作り方の違いとは?
おかき・あられとせんべいの作り方は、原材料となるお米の性質が違うため製法や工程が若干異なってきます。
味付けなどはほぼ同じような方法や工程で行うため、お米の状態から生地に仕上げて焼き上げる(又は、揚げる)までを簡単に説明しています。
おかき・あられの作り方
おかきとあられは、“もち米” を蒸してから搗いて、まずはお餅の状態にします。餅つきをされたことがあればイメージを思い浮かべていただけると思います。杵と臼で「ぺったんぺったん」と搗く光景はお正月に備える年末の風物詩でもあります。
お餅が出来上がったら、一度、それを冷蔵庫で冷やして切りやすいように適度な固さにします。そして、頃合いを見計らって食べやすい大きさの形に切り分けます。正方形・長方形・サイコロ形など、用途に応じてサイズや厚さを調節して生地を作ります。
切り分けた生地は、水分の調整を行うために適度に乾燥をさせます。ここがおかき・あられ最重要工程です。昔は天日干しが主流でしたが、今では用途に応じて専用の乾燥機を使い分けることが多いです。
適度に乾燥をさせた生地は、焼いたり揚げたりしておかき・あられになります。ちなみに焼く方を「焼き餅」、揚げた方を「揚げ餅」と呼んだりします。
おかきとあられは基本的には同じものですが、小さなサイズのものを “あられ” と呼んだりしています。
おせんべいの作り方
せんべいは、まずは “うるち米” を細かい粉にして米粉を作ります。そして、その米粉を専用の機械でじっくりと蒸して練り上げます。ちなみに、うるち米とは、普段私たちが主食として食べているご飯になるお米のことです。
その後、生地をしっかりと伸ばしていって適当な厚さに仕上げて、丸や四角などの形に生地を抜いていきます。中には、星型や達磨型、ハート形などもあります。
抜いた生地は、均等に並べて保存や流通に適した水分量まで調整を行いながら乾燥させていきます。こちらも昔は、屋外での天日乾燥が主流でしたが、天候などに左右されない専用の機械を用いて効率的に乾燥を行うようになりました。
ふっくら焼き上げるものや、しっかり固めに焼き上げるものなどの違いによって機械や火加減、時間を調節しながらこんがりと焼き上げて出来上がります。
焼き上げについて
おかき・あられ・おせんべいは、もともと炭火やガス火などの上で網に挟んだり、並べたりして手作業で丁寧にひっくり返しながら、きれいな焼き色がつくまで丹念に焼き上げていました。
今は、安定した設備のなかで焼き上げられるようになりましたが、昔は季節や気候などによって条件が大きく左右されていました。職人たちが、自然環境を考慮して焼き時間を長くしたり、短くしたりして最適な焼き加減でおいしく仕上げていました。いわゆる「熟練の技」です。
昔ながらの伝統製法で造られるものは、どこか風味が違います。それはきっと手間暇と天の恵みがおいしさを引き出してくれているのだと思います。
ちなみに下の写真は私がおかき工房の体験にお邪魔した際に撮影した光景です。今からおよそ20年くらい前の写真です。三丁網(さんちょうあみ)に生地を挟んで、ひっくり返しながら炭火の上で焼いているシーンです。
味付けについて
味付けは、醤油を使うものが主流ですが、あえて何もつけずに素材感を楽しむ商品も人気です。調味料などを使用しない無添加の素焼き仕上げによく見られます。
また、生地の中には海老や青のり、胡麻、昆布などが入ったものや、さらに醤油や食塩、砂糖、植物油脂、マヨネーズなどの調味料で味付けをしたり、焼き海苔や昆布などで巻いたものなど沢山の種類があります。
また、春夏秋冬によって季節限定で販売されるものも日本ならではの楽しみ方です。ほんの一例ですが、幾つか代表的な味付けをあげておきます。
○夏・・・レモン、トマト、とうもろこしなど
○秋・・・ごぼう、栗、かぼちゃなど
○冬・・・黒豆、かに、チョコレートなど
豊富な種類の調味料や香辛料をいろいろと組み合わせて、和風洋風を問わず、さまざまな味が作り出されています。時代のニーズとともに、好まれる味は少しずつ変化していますが、おかき・あられ・おせんべいの種類をみると、まだまだ昔ながらの味付けが多くを占めています。
さいごに:米菓は日持ちがする保存食
おかき・あられ・おせんべいは、まとめて米菓と呼ばれています。お米から作られるお菓子は、昔から日本人に愛されてきた伝統のお菓子です。
菓子の分類では干菓子(ひがし)に区分けされてます。それは、水分量が少なく日持ちがするという利点もあって、保存食としての側面も持ち合わせていた証拠です。
最近では、自然災害のために備蓄されている家庭も増えてきました。ぜひ、いろいろな種類を食べていただき、お気に入りのおかき・あられ・おせんべいを見つけていただければ嬉しいばかりです。
最後までご覧いただきありがとうございました。当記事が何かのお役に立てれば幸いです。
※写真やイラストはイメージです。