健康的なダイエットを成功させるには、単に摂取カロリーを抑えるだけではなく、「何を」「どれだけ」食べるかという栄養の質にも目を向けることが大切です。
本記事では、たんぱく質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の3大栄養素が果たす役割をわかりやすく解説し、厚生労働省の最新基準に基づくPFCバランスのおすすめ比率をご紹介します。
さらに、おやつとして楽しみやすいおかき・あられ・せんべいを例に、手軽に実践できる栄養バランスの整え方を具体的に提案できればと。
日々の食生活に“賢くおいしい”彩りを添えながら、無理なく健康を維持するヒントをお届けします。

米菓(おかき・あられ・せんべい)には、炭水化物(C)が最も多く含まれています。
はじめに:栄養バランスのとれた食事に関する日本の状況

厚生労働省の最新の『国民健康・栄養調査(令和5年)』の結果によると、栄養バランスのとれた食事に関する状況は以下のようになっています。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を毎日1日2回以上摂っている者の割合は、男性45.7%、女性47.1%であり、男女ともに70歳以上で最も高い。

意外に少ないことに驚きです。

参考資料の統計グラフを見ると、若い年齢になるほどその割合がさらに少なくなっています。
この点から考えても、1日の食生活では“栄養バランス”を意識することが、やはり大切だと感じます。
三大栄養素の役割

三大栄養素(エネルギー産生栄養素)は、体内でエネルギーを生み出すためのATP (アデノシン三リン酸)を産生できることができるたんぱく質・脂質・炭水化物を指します。
たんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギーの合計値がカロリー(kcal)です。主な役割は下記の通り。
- エネルギー源になる
- 体を構成する成分となる
- 体の調子を整える
各々の栄養素は体内での代謝に密接に関係してきます。延いては、栄養バランスを考えることがダイエットや健康維持に繋がることになります。
PFCバランスの推奨割合

PFCバランスとは、摂取カロリーのうち3大栄養素の「たんぱく質(P:protein)」「脂質(F:fat)」「炭水化物(C:carbohydrate)」の割合を示した比率のことを言います。
PFCバランスを意識することによって、栄養バランスを整えながら健康的なダイエットを目指すことができます。
なお、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020』によるとPFCバランスの比率は下記のような割合で推奨されています。

※飽和脂肪酸は18歳以上において7%以下
例えば、1日の摂取カロリー目標を2,000kcalに設定している人の場合、各栄養素の目標量は以下のようになります。
- たんぱく質 (13~20%): 260~400kcal (約65g~100g)
- 脂質 (20~30%): 400~600kcal (約44g~67g)
- 炭水化物 (50~65%): 1,000~1,300kcal (約250g~325g)
このように、ご自身の目標カロリーに推奨比率を当てはめることで、具体的なグラム数を把握しやすくなります。
ただし、性別(男性・女性)や体重、体型、体質など個人差があります。ダイエットの目的や目標によって最適なバランスも異なります。ここでは一般的な例としてご紹介していきたいと思います。
たんぱく質

たんぱく質は、体の約2割を占める生命活動を維持するための重要な栄養素。コラーゲンやエラスチン、ケラチン、ミオシン、ヘモグロビンなどの体を構成している臓器や筋肉、骨の細胞を作る成分に関わっています。
たんぱく質は、肉類や魚類、卵、牛乳、大豆などに多く含まれます。
食事摂取基準の目安量は、成人の場合、1日のエネルギーに占めるたんぱく質の割合が13~20%とされています。実際の量に例えると1日60g程度が推奨されています。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合して構成されていて、体内で合成されないため食べ物から摂取しなければならないものを「必須アミノ酸」と呼びます。
必須アミノ酸がひとつでも掛けていると効果が激減してしまうため、アミノ酸スコアの高い食品でバランスを高める必要があります。
おかき・あられ・せんべいで使用される素材で必須アミノ酸を比較的多く含むものが黒大豆や納豆、焼き海苔、胡麻です。おやつで手軽にたんぱく質を補いたい場合は、こうした素材が使われているおかき・せんべいを選ぶのがおすすめです。
おかきで賢くたんぱく質補給!お米の弱点を補う「アミノ酸スコア」の考え方
脂質

脂質は、エネルギー源となる他に細胞膜を構成する成分やホルモンなどをつくる材料となります。一部は体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)として蓄えられます。
脂質の一部である中性脂肪の主成分はグリセリンと結びついている脂肪酸で、大きくわけると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分類されます。
食事摂取基準の目安量は、成人の場合、1日のエネルギーに占める脂質の割合が20~30%とされています。なお、飽和脂肪酸は18歳以上においては7%以下が良いとされています。
おかき・あられ・せんべいに使用されている油は、酸化や熱に強い性質をもつ米油や菜種油、パーム油などの植物油脂。
サラダ味は、植物油脂に食塩を混ぜて味付けを行っています。脂肪酸の割合は、植物油脂の種類や配合によって異なります。
炭水化物

炭水化物は、糖質と食物繊維の総称。糖質の値は、炭水化物から食物繊維の値を引いた数値となります。
食事摂取基準の目安量は、成人の場合、1日のエネルギーに占める炭水化物の割合が50~65%とされています。
糖質は、脳や神経系などの体にとって最も重要なエネルギー源。一部はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられます。
おかき・あられ・せんべいは、ほとんど糖質が占めるため『炭水化物≒糖質』と捉えても差し支えありません。目安としては、約7~8割がでんぷんが主成分の糖質。

糖質は過剰な摂取が続いてしまうと体脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)に蓄えられるため肥満の原因に繋がります。
しかしながら、糖質制限を続けていると筋肉量が落ちたりして基礎代謝が低下する可能性があります。
何事にもバランスを考え、自分の食生活に見合った糖質コントロールが必要不可欠になります。
おかき・あられ・せんべいの糖質が気になる方へ|「糖質」と「糖類」の違いも解説
さいごに:自分にあった理想の比率で健康的な食生活を
本記事では、健康の土台となるPFCバランスについて解説しました。食品によって各栄養素の割合は異なるため、まずは商品パッケージの栄養成分表示を確認する習慣から始めてみましょう。
健康的な体づくりやダイエットを成功させるポイントは、以下の3つです。
- 自分の消費カロリーに見合った摂取カロリーを心がける
- PFCバランスを意識し、ビタミン等も含む食べ合わせを工夫する
- 適度な運動でエネルギー代謝を高める
厚生労働省が推奨する割合はあくまで目安です。この記事を参考に、各栄養素の役割を理解し、ご自身の目的やライフスタイルに合ったPFCバランスを見つけることで、無理なく健康的なダイエットに取り組んでみてください。

【参考サイト】
・国民健康・栄養調査の結果(令和5年) 厚生労働省
・ちょうどよいバランスの食生活 農林水産省
・食育の推進に役立つエビデンス(根拠)農林水産省
【参考文献】
・伊藤 貞嘉・佐々木 敏 (監修)日本人の食事摂取基準〈2020年版〉第一出版
※栄養素の効能効果については個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。