おかき・あられ・せんべいの主成分は炭水化物(糖質)です。
この記事では、『糖質(とうしつ)』と『糖類(とうるい)』の違いを解説しながら、
おかき・あられ・せんべいの糖質量について比較検証します。
糖質と糖類の違いを知ることは、日々の食生活の改善やダイエットにも役立ちます。
「糖質オフ」や「糖質制限」といった食事法もありますが、無理は禁物です。
健康を意識しながら、楽しくお菓子を召し上がっていただくためのヒントになれば幸いです。
おかき・あられ・せんべいの糖質について

おかき・あられ・せんべいは「お米」が主原料であり、約7〜8割を炭水化物が占めます。
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」を合わせたものの総称です。
正式な糖質量は、炭水化物の総量から食物繊維の量を差し引いて算出します。
ただし、一般的なおかき・あられ・せんべいに含まれる食物繊維はごくわずかなため、『炭水化物量 ≒ 糖質量』と考えて差し支えありません。
おかき・あられ・せんべいの糖質はどのくらい?
文部科学省の食品成分データベースによると、おかき・あられ・せんべいの糖質量は以下のようになっています。
- おかき・あられの糖質量: 100gあたり約82.9g
- せんべいの糖質量: 100gあたり約82.3g
栄養成分表示(100gあたり)
パッケージの栄養成分表示では、カロリーは「たんぱく質・脂質・炭水化物」の合計値、糖質は「炭水化物」、塩分は「食塩相当量」で確認できます。
おかき・あられ | せんべい | |
---|---|---|
エネルギー | 381kcal | 373kcal |
たんぱく質 | 7.9g | 7.8g |
脂質 | 1.4g | 1.0g |
炭水化物 | 84.2g | 83.1g |
(糖質) | (82.9g) | (82.3g) |
(食物繊維) | (1.3g) | (0.8g) |
食塩相当量 | 1.7g | 2.0g |
※上記の数値はあくまで代表的な値であり、商品によって異なります。実際に召し上がる際は、商品のパッケージに記載されている栄養成分表示をご確認ください。

ダイエット中の方は、食べ過ぎを防ぐために、食べた量や回数を記録するのも良い方法です。
糖質と糖類の違いと特徴について

*分類方法は、文献によって異なる場合があります。
「糖質」と「糖類」。この2つの言葉はよく似ていますが、意味は異なります。
「糖質」は炭水化物の一部で、消化されてエネルギーになるものを指します。
糖質は、その構造の複雑さから「多糖類」「少糖類」「糖類」などに分類されます。

一方で、「糖類」は糖質の一部であり、ブドウ糖や果糖などの「単糖類」と、砂糖(ショ糖)や乳糖などの「二糖類」のみを指します。
つまり、「糖質」という大きなグループの中に「糖類」が含まれている、とイメージすると分かりやすいでしょう。
おかき・あられ・せんべいの主な糖質は、お米の主成分である「でんぷん」です。でんぷんは「多糖類」に分類されます。
糖質ゼロとは?
食品表示基準では、食品100gあたり(飲料の場合は100mlあたり)の糖質が0.5g未満であれば「糖質ゼロ」や「ノンシュガー」と表示できます。そのため、「糖質ゼロ」と書かれていても、微量の糖質が含まれている場合があります。
糖類と糖質の消化吸収の違い
糖質は、種類によって体への吸収速度が異なります。
- 糖類(単糖類・二糖類): 構造が単純なため、分解の必要がない、あるいは分解しやすく、速やかに吸収されてエネルギー源になります。砂糖などがこれにあたります。
- 多糖類: 構造が複雑なため、消化酵素によってブドウ糖(単糖類)にまで分解されるのに時間がかかります。そのため、糖類に比べて消化吸収が緩やかです
おかき・あられ・せんべいの主成分である「でんぷん」は多糖類です。食べた後に比較的「腹持ちが良い」と感じるのは、消化・吸収が緩やかであるためです。
一方で、疲労を感じている時には、表面に砂糖(ざらめ)がついたせんべいの方が、より速くエネルギーになりやすいと言えるでしょう。
消化吸収の仕組みと太る原因
食事から摂取した糖質は、体内でブドウ糖に分解・吸収され、1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。
ブドウ糖は血液によって全身に運ばれ、活動のエネルギー源となります。一部は肝臓や筋肉に「グリコーゲン」として貯蔵されますが、使いきれずに余った分は体脂肪として蓄積されます。
つまり、糖質の摂取自体が問題なのではなく、エネルギーとして消費される量よりも過剰に摂取し続けることが、太る原因になるのです。
糖質が気になる方へ。おすすめの食べ合わせ

おかきは「もち米」、せんべいは「うるち米」から作られます。
どちらも主食であるごはんと同様に、糖質を上手にエネルギーに変える工夫や、吸収を穏やかにする工夫を取り入れるのがおすすめです。
ビタミンB1は糖質の代謝に必須
糖質が体内でエネルギーに変わる際には「ビタミンB1」という栄養素が不可欠です。
ビタミンB1は「疲労回復のビタミン」とも呼ばれ、糖質の代謝を助け、エネルギー産生をスムーズにします。糖質を多く摂る人や、スポーツなどでエネルギー消費が多い人は、特に意識して摂取したい栄養素です。
おかき・あられ・せんべいを選ぶ際には、ビタミンB1を含む黒豆、ごま、玄米などが使われた商品を選ぶと、糖質の代謝を効率的にサポートできます。

ビタミンB1がなければ糖質はエネルギーに変換できません。
水溶性食物繊維との食べ合わせが効果的な理由
水溶性食物繊維は、水分を吸収するとゲル状になり、一緒に食べたものの消化・吸収を穏やかにする働きがあります。
糖質と同時に摂取することで、糖の吸収速度が緩やかになり、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
水溶性食物繊維は、海苔、わかめ、昆布などの海藻類に豊富です。海苔巻きせんべいなどを選ぶのは、理にかなった選択と言えるでしょう。
腸活に欠かせない食物繊維の種類と働き|おかき・あられ・せんべいとの関係
さいごに:糖質は「適度に適量」が大切なポイント

糖質は私たちの体にとって重要なエネルギー源ですが、摂りすぎは肥満につながります。かといって、極端な糖質制限はエネルギー不足を招き、健康を損なう恐れもあります。*
ダイエットを意識するなら、特定の食品を制限するだけでなく、日々の栄養バランスの取れた食事と、適度な運動を組み合わせて、消費エネルギーを増やすことが基本です。
もし本格的な食事改善やダイエットに取り組む場合は、ご自身の体調をよく考慮し、必要であれば管理栄養士などの専門家に相談することも検討しましょう。
*基本的に脳のエネルギー源はブドウ糖(グルコース)ですが、飢餓状態など特殊な状況下では、脂肪を分解して作られる「ケトン体」もエネルギー源として利用されます。
PFCバランスとは?3大栄養素の役割と理想的な割合をわかりやすく解説
【参考文献】
・田地陽一(編)「栄養科学イラストレイテッド 基礎栄養学 第4版」羊土社 2020
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(監修)柴田克己、合田敏尚(編集)「健康・栄養科学シリーズ 基礎栄養学(改訂第6版)」南江堂 2020
・医療情報科学研究所「レビューブック 管理栄養士2021(第3版)」メディックメディア 2020
※食べ合わせは体質によって向き不向きがあります。
※栄養素の効能効果については個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。