なぜ間食は200kcalが目安?その根拠と理由を徹底解説

間食(イメージ画像)

間食の適量として「200kcal」という目安が広く知られていますが、その明確な根拠について深く考察する機会は少ないのではないでしょうか。

この目安がどのような背景から導き出されたのか、厚生労働省などの資料を基にその根拠を調べてみました。

さらに、摂取カロリーの「」のバランスだけでなく、食べる「時間」や「」といった観点から、健康的に間食を取り入れるための具体的な方法を多角的に解説しています。

米菓(おかき・あられ・せんべい)」をより楽しく召し上がっていただけるように。

この記事が、間食に関する正しい知識を得て、日々の食生活をより豊かにするため一助となれば幸いです。

なぜ間食の目安は200kcal?

間食の誘惑(食べるのを我慢している様子)

そもそも「間食」とは、朝食・昼食・夕食の3食以外に、エネルギーや栄養を補給するために食べるものや飲むもの全てを指します。

単に空腹を満たすだけでなく、生活に楽しみやうるおいを与えたり、次の食事までの血糖値を安定させたりと、大切な役割を持っています。

その適量として、一般的に推奨されているのが「200kcal」という目安となります。

せんべいなら3〜4枚、ポテトチップスなら袋半分。どら焼きなら1個が約200kcalです。

間食の200kcalの目安表(出典:eーヘルスネット 厚生労働省)
出典:e-ヘルスネット 厚生労働省

200kcalの根拠は「1日の必要カロリーの約10%」

では、なぜ200kcalなのでしょうか。
その最大の根拠は、厚生労働省などが示す「1日に必要なエネルギー(カロリー)の約10%」という考え方に基づいています。

多くの成人にとって、1日に必要なエネルギー量はおおよそ1800kcal〜2400kcal。その10%は180kcal〜240kcalであり、「200kcal」が目安として広く使われるようになりました。

これらの考え方は、厚生労働省 e-ヘルスネットの「お菓子や間食の取り入れ方」や、農林水産省の「食事バランスガイド」などにも記載されています。

【間食の目安】(解説図:例)1日の必要量エネルギー量が2200kcalの場合の割合(参考資料:食事バランスガイド 農林水産省)作成者:おかきソムリエ
間食の目安(作成図)

注意:必要カロリーには個人差も

1日に必要なエネルギー摂取量は性別年齢身体活動レベルによって違います。

農林水産省の『食事バランスガイドチェックシート』に基づき1日のエネルギー摂取量を表にまとめてみました。

身体活動
レベル
男性女性
低い2200kcal
(±200kcal)
1400kcal
~2000kcal
ふつう以上2400kcal
〜3000kcal
 2200kcal
(±200kcal)
参考資料:食事バランスガイド 農林水産省
何をどれだけ食べたらよいかの説明図 出典:一日に必要なエネルギー量と摂取の目安(農林水産省HP)
出典:農林水産省

おやつは200kcalまでと言われますが、身体活動レベルや食事量などによって異なります。

間食が多くなった時は、夕食で調整したり、運動や生活活動で消費カロリーを増やしておきたいところ。

摂取カロリーと消費カロリーがイコールになるバランスが理想です。

摂取カロリー = 消費カロリー

摂取カロリーが消費カロリーを超えないように意識しましょう!

間食で太らないための2つのポイント

お皿に入ったせんべい(イメージ写真)

200kcalという目安を知ることも大切ですが、それ以上に重要なのが「量」と「時間」という2つのポイントです。

この2つを意識するだけで、間食と上手に付き合えるようになります。

①「量」:摂取と消費のバランス

間食で太るか太らないかを決める最も大きな要因は、お菓子の種類そのものよりも「摂取カロリー」と「消費カロリー」のバランスです。

1日の総摂取カロリーが消費カロリーを上回れば、余ったエネルギーが体脂肪として蓄積されていきます。

太る仕組み

摂取カロリー > 消費カロリー

「間食200kcal」という目安は、朝・昼・晩の3食に加えて間食を摂っても、このカロリーバランスを大きく崩さないようにするため指標のようなものです。

もし300kcalのケーキを食べたとしても、それ自体が「悪」というわけではありません。その日は夕食のご飯を少し減らしたり、一駅分多く歩いて消費カロリーを増やしたりと、どこかで調整すれば良いのです。

おやつを食べた日は、1日全体で帳尻を合わせる意識を持つことが、楽しみながら体型を維持するコツと言えるでしょう。

「太る」「太らない」という点においては、個人差があるため明確な基準がありません。

②「時間」:おやつのゴールデンタイムとは?

時計とティーカップ(イメージ画像)

実は、同じものを同じ量食べても、食べる時間帯によって太りやすさが変わることが分かっています。その鍵を握るのが、私たちの体に備わっている「サーガディアンリズム(体内時計)」です。

この体内時計の働きに関わる「BMAL1(ビーマルワン)」というタンパク質は、体に脂肪を溜め込む働きを持っており、時間帯によって増えたり減ったりします。

BMAL1が最も増えるのは、活動量が少なくなる夜22時頃から深夜2時にかけて。この時間帯に食べたものは、エネルギーとして消費されにくく、脂肪として蓄積されやすくなります。「夜食は太る」と言われるのには、こうした科学的な理由からです。

逆に、1日のうちで最もBMAL1が少なくなるのが午後2時〜3時頃。この時間帯は「おやつのゴールデンタイム」とも言え、間食をしても脂肪になりにくい、最適なタイミングです。

食事の後に時間を置かずに間食すると完全に消化が行われる前の摂取となり、胃腸の負担やカロリーオーバーに繋がってしまう可能性があります。

【比較】ポテチとせんべいのカロリー

せんべいとポテトチップスの写真

ポテチとせんべいではどっちが太る?」といった質問が多いので、100gあたりに換算して簡単な表にまとめてみました。

種類カロリー
(kcal)
せんべい368kcal
揚げせんべい458kcal
あられ・おかき378kcal
ポテトチップス541kcal
参考:八訂 食品成分表2021 女子栄養大学出版部

同じ量で比べると、ポテトチップスは一般的なせんべいの約1.5倍も高カロリーなことが分かります。

主な理由はやはり、製造過程で使われる植物油脂の量。カラッと揚げることで、カロリーもぐんとアップしてしまいます。

だからといって「せんべいなら安心」というわけではありません。

大切なのは、こうしたカロリーの目安を知った上で、1日の総摂取カロリーを意識することです。

上級編:間食を「栄養補給」にするコツ

スムージーと野菜、果物のイメージ画像

間食では、普段の食生活で不足しがちな栄養素を補うことが推奨されています。例えば、食物繊維やビタミン、カルシウムや鉄分などのミネラル。

食物繊維は血糖値の上昇を抑えたり腸内環境を整え、ビタミンは補酵素として他の栄養素の働きを助けてくれます。カルシウムは骨や歯を形成する成分として、鉄分は赤血球のヘモグロビンの構成成分になります。

おすすめの間食としてよく例にあげられるのは、果物や牛乳、チーズなどの乳製品、野菜ジュース、青汁。最近では、豆乳やスムージーも人気があるようです。

まとめ:200kcalを目安に賢く間食を楽しもう

お菓子でティータイムを過ごす様子(イメージ画像)

今回は、なぜ間食は200kcalが目安と言われるのか、その根拠と理由について詳しく解説しました。

最後に、大切なポイントをもう一度振り返ってみたいと思います。

200kcalの根拠は、1日の総摂取カロリーの約10%という考え方が基本。

最も重要なのは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスです。

食べるなら、脂肪として蓄積されにくい日中の時間帯がおすすめ。

間食を、不足しがちな栄養を補う「補食 *」と捉えると、より健康的に楽しめると思います。

「200kcal」は、絶対に守らなければいけない厳格なルールではなく、自分の体やその日の活動量と相談しながら、上手に活用するための「目安」としてください。

日々の生活に彩りを与えてくれる間食の時間に、「おかき・あられ・せんべい」を取り入れていただけると幸いです。

補食とは

補食とは必要な栄養やエネルギーを満たすために、通常の食事に加えて物を食べること。(コトバンクより)

【参考文献】

・田地陽一(編)基礎栄養学 第4版 羊土社

・中村丁次(監修)栄養の基本がわかる図解事典 成美堂出版


【参考サイト】
お菓子や間食の取り入れ方 e-ヘルスネット(厚生労働省)

こどもの食育(農林水産省)
「食事バランスガイド」について 農林水産省
門間敬子(原著論文)学生の菓子に対する意識 京都女子大学生活福学科 第9号

※栄養素の効能効果には個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。