3大栄養素の役割|PFCバランスのおすすめの割合とは?

栄養バランス

ダイエットの指標にはカロリーを目安にしますが、栄養素の役割や働きを知ることで健康的な食生活が期待できます。

過度な糖質制限や偏った食事方法では、場合によっては筋肉量が落ちたり基礎代謝の低下などを招きかねません。

食べものは、どのような種類をどれだけ食べるかということが大切なポイント。健康的なダイエットを行うためにも栄養バランス(PFCバランス)の推奨割合は意識しておきたいところです。

おかき・あられ・せんべいも例にしつつ、各栄養素を出来るだけわかりやすく解説してみました。

おかき・あられ・せんべいはお米のお菓子。
炭水化物(C)が最も多く含まれています。

はじめに:栄養バランスのとれた食事に関する日本の状況

栄養バランスの良い食事

厚生労働省の『国民健康・栄養調査2018』の結果によると、栄養バランスのとれた食事に関する状況(P.19)では下記の通りとあります。

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べることが、「ほとんど毎日」と回答した者の割合は、男性45.4%、女性49.0%である。年代別にみると男女ともに若い世代ほどその割合が低い傾向にある。

出典元:厚生労働省 国民健康・栄養調査

主食・主菜・副菜の3つを組み合わせることがバランスの良い食事になることを知っている者の回答で、主食・主菜・副菜の3つを組み合わせて食べることができない理由としては、20歳以上の男女ともに1位が「手間がかかる」という回答でした。

この点から考えても、1日の食生活では“栄養バランス”を意識することが大切。

おやつも大切なエネルギー源となります!

三大栄養素(エネルギー産生栄養素)の役割

三大栄養素(エネルギー産生栄養素)は、体内でエネルギーを生み出すためのATP (アデノシン三リン酸)を産生できることができるたんぱく質脂質炭水化物を指します。

三大栄養素(イメージ画像)

たんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギーの合計値がカロリー(kcal)です。主な役割は下記の通り。

  • エネルギー源になる
  • 体を構成する成分となる
  • 体の調子を整える

各々の栄養素は体内での代謝に密接に関係してきます。延いては、栄養バランスを考えることがダイエットや健康維持に繋がることになります。

栄養バランスの偏った方法でダイエットを行い、体調が崩れてしまっては本末転倒。

栄養と栄養素の違い

食べ物を食べると体内で消化吸収され、代謝によってエネルギーや体内物質となります。エネルギーとは、人が体を動かすための源であり生命活動を維持するための根源

三大栄養素にビタミンミネラルを加えて、五大栄養素と呼ぶ場合もあります。

栄養素を体内に取り組み、消化・吸収・代謝・排泄といった一連の活動を「栄養(えいよう)」と言います。

つまり、物質であるものが栄養素で、働きである活動を示す言葉が栄養になります。

栄養素の役割や働きにおいては、大きく分けると下記の3つに分類されています。

  • 熱量素・・・エネルギー源となる(糖質、脂質など)
  • 構成素・・・体を作る成分となる(たんぱく質、脂質など)
  • 調節素・・・体の調子を整える(ビタミン、ミネラルなど)

PFCバランスの推奨割合について

栄養バランスを計算する様子(イメージ画像)

PFCバランスとは、摂取カロリーのうち3大栄養素の「たんぱく質(P:protein)」「脂質(F:fat)」「炭水化物(C:carbohydrate)」の割合を示した比率のことを言います。

PFCバランスを意識することによって、栄養バランスを整えながら健康的なダイエットを目指すことができます。

なお、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020』によるとPFCバランスの比率は下記のような割合で推奨されています。

  • たんぱく質 13~20%
  • 脂質(※) 20~30%
  • 炭水化物  50~65%

※飽和脂肪酸は18歳以上において7%以下

PFCバランスの円グラフ(作成図)

ただし、性別(男性・女性)や体重、体型、体質など個人差があります。ダイエットの目的や目標によって最適なバランスも異なります。ここでは一般的な例としてご紹介していきたいと思います。

1.たんぱく質(Protein)について

たんぱく質を多く含む食品

たんぱく質は、体の約2割を占める生命活動を維持するための重要な栄養素。コラーゲンやエラスチン、ケラチン、ミオシン、ヘモグロビンなどの体を構成している臓器や筋肉、骨の細胞を作る成分に関わっています。

たんぱく質は、肉類や魚類、卵、牛乳、大豆などに多く含まれます。

食事摂取基準の目安量は、成人の場合、1日のエネルギーに占めるたんぱく質の割合が13~20%とされています。実際の量に例えると1日約60g程度が推奨されています。

たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合して構成されていて、体内で合成されないため食べ物から摂取しなければならないものを「必須アミノ酸」と呼びます。

必須アミノ酸がひとつでも掛けていると効果が激減してしまうため、アミノ酸スコアの高い食品でバランスを高める必要があります。

おかき・あられ・せんべいで使用される素材で必須アミノ酸を比較的多く含むものが黒大豆や納豆、焼き海苔、胡麻です。

美容や肌の健康維持に重要となる栄養素が『たんぱく質(プロテイン)』。

たんぱく質とおかき・あられ・せんべい|必須アミノ酸を含む素材とは?

2.脂質(Fat)について

脂質を多く含む食品

脂質は、エネルギー源となる他に細胞膜を構成する成分やホルモンなどをつくる材料となります。一部は体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)として蓄えられます。

脂質の一部である中性脂肪の主成分はグリセリンと結びついている脂肪酸で、大きくわけると飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の2つに分類されます。

食事摂取基準の目安量は、成人の場合、1日のエネルギーに占める脂質の割合が20~30%とされています。なお、飽和脂肪酸は18歳以上においては7%以下が良いとされています。

おかき・あられ・せんべいに使用されている油は、酸化や熱に強い性質をもつ米油や菜種油、パーム油などの植物油脂。

サラダ味は、植物油脂に食塩を混ぜて味付けを行っています。脂肪酸の割合は、植物油脂の種類や配合によって異なります。

脂質と脂肪の違い|中性脂肪は同じ意味ではないの?脂肪酸の種類 編

3.炭水化物(Carbohydrate)について

炭水化物を多く含む食品

炭水化物は、糖質食物繊維の総称。糖質の値は、炭水化物から食物繊維の値を引いた数値となります。

食事摂取基準の目安量は、成人の場合、1日のエネルギーに占める炭水化物の割合が50~65%とされています。

糖質は、脳や神経系などの体にとって最も重要なエネルギー源。一部はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられます。

おかき・あられ・せんべいは、ほとんど糖質が占めるため『炭水化物糖質』と捉えても差し支えありません。目安としては、約7〜8割がでんぷんが主成分の糖質。

糖質は過剰な摂取が続いてしまうと体脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)に蓄えられるため肥満の原因に繋がります。

しかしながら、糖質制限を続けていると筋肉量が落ちたりして基礎代謝が低下する可能性があります。

何事にもバランスを考え、自分の食生活に見合った糖質コントロールが必要不可欠になります。

おかき・あられ・せんべいの糖質が気になる方へ|糖質と糖類の違い

さいごに:自分にあった理想の比率でダイエットに取り組む

食品によって各栄養素の割合は異なるため、カロリーの数値も変わってきます。気になる場合は、商品パッケージなどに記載されている栄養成分表示を確認するようにして下さい。

なお、ほぼ毎日、おかき・あられ・せんべいを食べる私が、ダイエットを行う際に意識している3つのポイントは下記の通り。

  • 摂取カロリーと消費カロリー
  • 栄養素のバランスと食べ合わせ
  • 有酸素運動によるエネルギー代謝

たんぱく質や脂質、炭水化物の吸収や働きを助けてくれるビタミン・ミネラル、機能性成分とあわせて食べることが大切です。

PFCバランスの理想の比率は、それぞれ異なるため、推奨されている割合と各栄養素の働きを意識しながら、自分にあったバランス比率でダイエットに取り組むことがポイント。

日頃から質の良い食事と適度な運動で代謝を高めることによって、健康的なダイエットができるようになります。

【参考サイト】
国民健康・栄養調査の結果 厚生労働省
ちょうどよいバランスの食生活 農林水産省
食育の推進に役立つエビデンス(根拠)農林水産省
【参考文献】
・伊藤 貞嘉・佐々木 敏 (監修)日本人の食事摂取基準〈2020年版〉第一出版

※栄養素の効能効果については個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。