おかき・あられ・せんべいの専門家監修

お菓子のルーツは『木の実・果実』であったお話|おかき・あられ・せんべいの歴史と由来

橘のロゴ画像

和菓子は大きく分けると、生菓子、干菓子、半生菓子の3つに分類されています。おかき・あられ・おせんべいは干菓子であり、焼菓子というカテゴリーに入ります。油で揚げているものは油菓子に入ります。

和菓子は、日本の歴史と文化が生み出したもので、四季を表現したり、その土地特有の産物を用いて、様々な形を模ったりと、地域によって独特の世界観が生み出されています。

今でもお茶菓子として欠かすことができない食べ物ですが、お菓子のルーツはいつ頃なのかと興味が湧いたので、ちょっと遡ってみるとします。

お菓子のルーツは木の実や果実

古代の人々は狩猟が食糧確保の主な方法であったため、安定的に食糧を確保するのが大変なようでした。そのような時代から食べてきたとされているのが、比較的に手に入れやすく保存のできる“木の実”や“果物”であったと言われています。

季節や場所などによって手に入れるものなどが違ったり、収穫できる数には限りがあったのかもしれませんが、空腹を満たすためには不可欠な食糧であったことは間違いありません。

菓子という字も、もともとは「果子」と表されていたようです。“ 菓 ” という字の元は “ 果 ” であり、木の上に実がなっている様子を表した象形文字になります。

「菓」という文字は、今ではお菓子というイメージが色濃いですが、果物(くだもの)の意味も持っています。昔の菓子は、今の菓子という概念とは違い、木の実や果物が中心的な位置づけでした。

その後、奈良~平安時代に中国から伝わった唐菓子(からくだもの)や、鎌倉時代に同じく中国から伝わった点心(てんしん)、安土桃山時代にポルトガル・スペインからきた宣教師によって伝えられた南蛮菓子などの影響を受けながら、時代とともに人の手で加工を施したものへと移り変わり、江戸時代に和菓子の原型が生まれ、今日の姿へとつながっていきます。

和菓子のイメージ画像

お菓子の神様『田道間守』が持ち帰った橘

お菓子のルーツを語る上では忘れてはいけないが、お菓子の神様と言われる田道間守(たじまもり)です。当時の天皇(水仁天皇)の命を受け、不老不死の薬を求めて旅に出た際に持ち帰ったとされる『非時香果(ときじくのかくのこのみ)』が、橘(たちばな)の実であったという話は有名であり、この『橘の実』を菓子のルーツとする説が有名です。

日本には、たくさんの和菓子屋さんがあり、暖簾や看板などに使われている屋号やロゴのなかに、この橘(たちばな)の絵が使われている光景が多く見受けられます。これはお菓子の起源を大切にする心や菓祖「田道間守」への敬意をよく表しているものです。

右近の橘、左近の桜(京都御所)

「右近の橘、左近の桜(Tachibana on the right side Sakura on the left side)」というは、この故事に由来しているとも言われています。なお、右近の橘については、先述の通り、非時香果(ときじくのかくのこのみ)と呼ばれ、寒暖の差に強く常に葉を生い茂る姿から、繁栄を象徴する縁起の良い樹として不老長寿を願う意味が込められています。

雛祭りの際にも橘と桜を飾るのもそういったところにちなんでいるようです。平安時代の宮中の様子を習った伝統的な行事として3月3日のひな祭りの日には、雛人形やお供え物に加え、花かざりとして橘と桜を飾ります。習わしとしては向かって左に橘を、右側には桜を飾るのが一般的です。 これは、京都御所の紫宸殿(ししんでん)にちなんでいると言われています。

田道間守を祀る中嶋神社(兵庫県豊岡市)

兵庫県豊岡市にある中嶋神社はこの田道間守が祀られており、今でも菓子業界に関わる人々が多く参拝しています。もちろん、私も何度か参らせていただいたことがあります。

もし、ご興味があれば豊岡に行く際にはぶらりと立ち寄ってみてください。近くには城崎温泉や城崎マリンワールドなどもあり、冬には名物の蟹料理が味わえる料理旅館などもたくさんあります。

志賀直哉の短編小説『城崎にて』の内容は、生きているということを題材にしたものでした。お菓子は生きるとために必要だった食べもの。なんとなく繋がりがあるような場所で豊岡は不思議な場所です。

◎中嶋神社
〒668-0823 兵庫県豊岡市三宅1
参考サイト:中嶋神社の紹介サイトはこちら

まとめ

お菓子は、古代の人々には生きるために欠かすことのできない大切な食糧でした。弥生時代以降は、稲作が中心となり、人々は栽培という方法で食料を確保することができるようになりました。そのため、木の実や果実は、次第に間食といった位置づけとなり、現在のおやつという色合いが強くなったようです。

普段、何気なく口にしているお菓子ですが、遠い昔から受け継がれてきたものであることがわかるだけでもお菓子への興味がつきない私です。

最後までご覧いただきありがとうございました。当記事が何かのお役に立てれば幸いです。

※歴史や起源・由来には諸説があります。
※写真やイラストはイメージです。