「おかき・あられ・せんべいの消化はどうなの?」
といった質問を時々頂くので、今回は消化吸収の仕組みについてまとめてみました。
消化吸収とエネルギー代謝の関係がわかれば、食生活におけるダイエットにも役立ちます。
シンプルな原材料で作られたおせんべいは消化にいい食べ物と言えます。
消化が悪いと言われることもありますが、江戸時代頃から食べ続けられていることを考えると胃には優しい理にかなったお菓子なのかもしれません。
結局のところは原材料などによって良し悪しが分かれると考えています。
おかき・あられ・せんべいを毎日食べても太らない理由|ダイエット実践方法
消化と吸収について
私たちの体では、摂取した栄養素は体内で燃やされて消費されるエネルギー代謝という活動が行われています。
消化の良し悪しについては、使用されている素材(原材料)や調味料によって異なってきます。
また、食べる時間帯や胃の調子、食べ合わせも考慮する必要があります。
おかき・あられ・せんべいの主成分は糖質(でんぷん)
おかき・あられ・せんべいのおよそ7~8割は “ 糖質(でんぷん)” が占めています。でんぷんはアミロースとアミロペクチンという成分で構成される多糖類。
炭水化物(糖質)は、たんぱく質や脂質よりも胃の中に留まる時間(滞胃時間)は短く、消化の大部分は小腸で行われるため胃には優しい食べ物と言えるかもしれません。
つまり、シンプルな原材料で作られた昔ながらのおせんべいは消化にいい食べ物と言えます。
口の中で甘みが感じられる位にしっかり噛むことによって、唾液に含まれるアミラーゼで消化を助けることにも繋がります。
もち米とうるち米の主成分(でんぷん)|アミロースとアミロペクチンの特徴と違い
たんぱく質の消化と吸収
たんぱく質は消化酵素によって最終的にアミノ酸に分解され、小腸上皮細胞で吸収されて毛細血管から門脈を通って肝臓へ運ばれます。
たんぱく質は、体の約20%を占めています。筋肉や臓器、骨などのあらゆる組織に関わり、体の機能を調整するホルモンや消化酵素の原料としても利用されます。
たんぱく質とおかき・あられ・せんべい|必須アミノ酸を含む素材とは?
炭水化物(糖質)の消化と吸収
炭水化物は、体内で消化吸収される糖質と消化吸収されない食物繊維の総称。ただし、一般的なおかき・あられ・せんべいは、ほぼ “糖質” となります
糖質は消化酵素によってブドウ糖(グルコース)に分解されて、小腸上皮細胞で吸収され毛細血管から門脈を通って肝臓へ運ばれます。一部はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられますが、主にはエネルギー源として利用されます。
おかき・あられ・せんべいの糖質が気になる方へ|糖質と糖類の違い
脂質の消化と吸収
脂質は一部を除いては、消化酵素によって “脂肪酸とモノグリセリド” に分解されます。小腸上皮細胞に吸収され、脂肪に再合成されたあと、リンパ管を通って全身へと送られます。
脂質は細胞膜などの材料になりますが、貯蔵エネルギーとしての役割が強いため摂り過ぎると体脂肪になりやすいと言えます。
脂肪酸の種類は植物油脂によって異なってきます。主な植物油脂については別の記事で解説していますので、ご参照ください。
脂質と脂肪の違い|中性脂肪は同じ意味ではないの?脂肪酸の種類 編
代謝とエネルギーについて
人の体は、およそ60兆個の細胞からできていると言われています。そのすべてが食べものを材料として、新陳代謝を繰り返しながら絶えず生まれ変わっています。
新しい体を作るために必要な材料が「エネルギー産生栄養素」と呼ばれる栄養素。
栄養素を生命活動に必要なエネルギーや物質に変える化学反応が『代謝(たいしゃ)』です。
栄養素を分解してエネルギーを作る「異化(いか)」と、エネルギーを使って体内物資を作る「同化(どうか)」をまとめて代謝と呼ぶことが多いかと思います。
エネルギーは、ATP(アデノシン三リン酸)という体内物質として蓄えられます。蓄えられたATPが体内のあらゆる細胞でエネルギー分子として利用されます。
代謝を高めることはダイエットに大事なポイント!
エネルギー代謝について
エネルギーを生み出すたんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)は、生命にかかわる呼吸や体温の維持、筋肉の収縮などの生命活動に使われる大切な栄養素。
体内に取り込まれた各栄養素からエネルギーを生み出す一連の働きを「エネルギー代謝」といいます。
おかき・あられ・せんべいなどの食品では、これら3つの栄養素のエネルギー(熱量)の合計値がカロリー(kcal)で表されています。
それぞれ1gあたりでは下記の熱量が生み出されます。
たんぱく質・・・4キロカロリー
脂質・・・9キロカロリー
炭水化物・・・4キロカロリー
1リットルの水の温度を1度あげるために必要なエネルギーが1キロカロリー!
基礎代謝・活動代謝・食事誘発性体熱産生について
エネルギー代謝には、基礎代謝・活動代謝・食事誘発性体熱産生の3つがあります。
- 基礎代謝・・・人が生きるために必要な最低限のエネルギー
- 活動代謝・・・身体活動による筋肉や心拍の活動に必要なエネルギー
- 食事誘発性体熱産生・・・栄養素の消化吸収における代謝に必要なエネルギー
食べることで生まれるエネルギーは、食事誘発性体熱産生(DIT)に該当します。
食事をしたら、体が温まるのにはこのような理由があります。
身体活動とエネルギー代謝の割合
種類 | 消費エネルギーの割合 |
---|---|
基礎代謝 | 約60% |
活動代謝 | 約30% |
食事誘発性体熱産生 | 約10% |
おやつを食べ過ぎたら運動やスポーツで活動代謝を高めることが必要かもしれません。
さいごに
消化吸収とエネルギー代謝の仕組みがわかれば、食べる種類や量、回数をとても意識しやすくなるかと思います。
消化を意識する際は、先述の通り脂質の多いものより、焼いたシンプルな味付けの方が胃腸には優しいと言えます。
ほぼ毎日、おかき・あられ・せんべいを食べる私は代謝を高めるためにも栄養バランスを整えたり、ウォーキングによる有酸素運動で消費カロリーを意識しながらダイエットを行っています。
1日に必要な摂取カロリーを目安に、楽しいおやつの時間を過ごしていただければと思います。
おかき・あられ・せんべいを毎日食べても太らない理由|ダイエット実践方法
●参考文献
・柴田克己・合田敏尚(編)基礎栄養学(改訂第6版)南江堂
・田地陽一(編)基礎栄養学(第4版)羊土社
・麻美直美・川中健太郎(編)運動生理学 羊土社
●参考サイト
・身体活動とエネルギー代謝 e-ヘルスネット 厚生労働省
※栄養素の効能効果については個人差があります。
※写真やイラストはイメージです。